リハビリテーション

【看護とリハビリは全然違う!】高齢者転倒評価スケールの基準と解釈

入院患者さんの転倒・転落事故は療養生活上の大きな問題になります。

転倒事故を予防するために身体抑制をすることは人権やせん妄の悪化などがあるので容易にはできません。

実際、院内での転倒事故は23.7%発生すると言われています。

高齢者の転倒スケールはいろいろありますよね。特に看護師さんが使用する転倒スケールとリハビリ義士が使用する転倒テストバッテリーが違うことを知っていますか?

今回は、看護師領域とリハビリ領域での転倒スケールの違いとデータの基準、その解釈について解説していきます。

 

リハビリテーション領域で使用される評価ツール

転倒評価感度・特異度

転倒アセスメントツールは感度が高いことがわかります。カットオフ値よりも高い点数で実際に転倒しない人の割合が良い。

でも、特異度が低いので、カットオフ値より低くて実際に転倒する人の割合が少ない訳です。つまり、点数が悪くても実際は転ばない人も含まれてしまうことになりますね。

これらの評価のカットオフ値のみで歩行の自立などを決定してしまうと、実際に転ばない人を過度に活動を制限してしまうことになります。

運動機能面を中心に評価するツールは、転倒する人を検知するには有効であるが、転倒しない人でも危険性があると反応してしまいます。

 

 

看護領域で使用される評価ツール

転倒アセスメントスコア

入院患者の転倒リスクアセスメントツールの予測精度ー国内データベースを用いた文献検討ー

まとめると転倒アセスメントツールの感度は0.6-0.76 特異度は0.6-0.91

運動機能面だけでなく総合的に評価していることがわかると思います。特に認知機能面の重み付けが高いことがわかりますね。

 

 

看護師の直感

入院高齢者の転倒予測に関する改訂版アセスメントツールの評価

経験的感覚で転倒を予想できるのでしょうか?この研究は看護師の直感(感覚的)は転倒をどの程度予想できるのか?そんな論文になります。

転倒するかどうかを看護師の直感的で「転倒しそう!」思った人は7.7倍転びやすいことがわかりました。

看護師の転倒に関する直感は、多くの要素との関連性があることをわかりました。つまり、直感的に判断しているのは当てずっぽではなく、高次な判断をしていることがわかりますね。

 

リハビリ義士やセラピストの直感の論文を探すことができませんでした(T . T)

 

高齢者施設における転倒予防のポイント

高齢者の転倒を誘発する要因は多岐に渡ります。つまり1つの職種だけでの評価では不十分と言うことです。なので多職種の良好なコミュニケーションが大切になります。

前提として病院や施設職員全体の転倒予防に対する意識を高める取り組みはもちろんですし、個々の転倒予防に対する高い意識も重要になってきます。

また、歩行補助器具やセンサー類など転倒を予防する施設設備の充実も高齢者の転倒を予防するためには大切なリソースになります。

まずは、自病院・施設の転倒予防を阻害する因子をついてしっかりと理解しておく必要がありますね。

転倒予防を阻害する因子

  • 提案された介入に圧倒され、フラストレーションを感じるスタッフ
  • 転倒予防のマネジメントコントロールする能力
  • スタッフ配置の問題(仕事の負荷)
  • 限られた知識と技術(教育体制の欠如・質の改善体制の欠如)
  • 不適切なコミュニケーション
  • 限られた施設・設備
  • 転倒予防コーディネーターに対する適切な体制的支援がない

 

まとめ

院内での転倒事故予防はとても大切です。

看護師やリハビリテーション分野でそれぞれ使用されている評価ツールが違う。

転倒アセスメントツールは特異度が高いのに対して、リハビリ分野での評価ツールは感度が高い

しかし、いずれも80%程度である。残りの20%をどのように補うのかが問題となる。

そこを看護師やコメディカルによる直感的も悪くはないかもしれない。

運動機能面やコメディカルの直感だけでなく、多職種のコミュニケーションの円滑さが必須であることがわかる。つまり、リハビリ義士や看護師など多くのコメディカルがコミュニケーションを取りやすい環境の提示が必要となる。

一方で教育体制の確立はもちろん大事ですよね。転倒予防に関する知識の醸成を高める取り組みも必要です。

 

 

 

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