リハビリテーション

脳卒中の障害タイプ別の予後予測ー日常生活と歩行の再獲得ー

こんにちは!本ブログ「neta-bolt.com」を運営しているリハトレ@training1104です

脳卒中の人でどんな人が予後が悪いの?

障害のタイプで違いがあるの?

そんな疑問を解決します。

脳卒中になると歩くのが難しくなったり、日常生活は送ることが難しくなります。

では、どのような脳卒中になると日常生活を送ることが難しくなるのか?

また、再び歩くことが難しくなるのかはわからないですよね。

今回は、脳卒中後の日常生活や歩行の予後について解説していきます。

脳卒中の予後

脳卒中後に再び自立で歩ける確率は 41~85%(Dallas 2008; Feigin 1996; Kwah 2013; Verbeek 2011; Wade 1987; Wandel 2000

全く問題なく歩ける人 18% (Lord 2004)

脳卒中後の上肢の回復確率 32~34%(Au‐Yeung 2009; Heller 1987; Nijland 2010)

脳卒中の機能回復は6か月後には30~66% 完全に回復する人 5~20% (Heller 1987; Nakayama 1994; Sunderland 1989; Wade 1983)

 

脳卒中後の機能回復や自立歩行の回復は幅がありますね。良くなる人を完全に言い当てることは難しいのかもしれません。

個人的には、日本の場合は機能回復や自立歩行はもう少し確率が高くなると思います。理由は日本はリハビリ義士が多いことと、医療制度が整っていることにあると考えられます。

脳卒中後の上肢の回復は、確率に幅がないことがわかります。

私も脳卒中の患者さんに多く携わってきましたが、上肢の機能回復は難しい印象です。

脳卒中後初めの1ヶ月程度で上肢の動きがなければ、その後の機能回復は難しいでしょう。

脳卒中後の予後に関する研究

カンザス大学のAtul T. Patel先生の報告を紹介します。

脳卒中の患者を4つに分けて、脳卒中後の予後について調べました。

脳卒中患者を4つの分け方

M=運動機能だけが悪い人 122人

MS=運動と感覚が悪い人 111人

MH=運動が悪い+半盲(視覚が半分見えない)の人 35人

MSH=運動と感覚が悪い+半盲の人 92人

日常生活の予後

6ヶ月後にバーセルインデックスで60点(日常生活で中等度の介助を要する)になる確率です。

脳卒中のタイプ 6か月後のBI60以上になる確率
運動 90%
運動+感覚 85%
運動+半盲 75%
運動+感覚+半盲 50%

 

6ヶ月後にバーセルインデックスで90点(日常生活はほとんど自分で出来る)になる確率です。

脳卒中のタイプ 6か月後のBI90以上になる確率
運動 75%
運動+感覚 60%
運動+半盲 40%
運動+感覚+半盲 30%

 

日常生活が介助なく送れるには、感覚障害と視覚の障害が合わさってしまうと起こります。

それだけ、感覚や視覚情報に人間が依存しているとも言い換えることができるでしょう。

歩行の再獲得

歩行の再獲得は、運動と感覚と視覚の障害が合わさると難しくなりますが、それ以外は60%は歩行獲得可能と言うことです。

積極的にリハビリテーションを実施することにより、改善する可能性もまだまだあると考えられます。

 

まとめ

脳卒中の障害のタイプにより予後予測がある程度できる論文を紹介しました。

日常生活の介助量の程度や歩行の再獲得を、障害のタイプから予測することが出来る可能性があります。

今回紹介している論文は海外の論文です。日本のようにリハビリ義士が多くいて、医療制度が整っている環境では少し確率が上がると思います。

脳卒中の障害の状況(運動・感覚・視覚)を的確に評価することが重要になります。

 

今回参考にした論文

The Relation Between Impairments and Functional Outcomes Poststroke

 

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