リハビリ技士が急増していることは皆さんご存じの通りでしょう。
他のコメディカルは?と言うとリハビリとは逆に担い手が不足している状態。そして、働き方改革が導入され長時間勤務することが難しくなっています。
特に医師の働き方には国も指摘していますね。長時間労働が常態化しているので無理もないでしょう。
そんな問題を解決するために、これまで医師が行っていた業務を、看護師が主に担う「タスクシフト」や「タスクシェア」が導入され始めています。
看護業務の守備が広くなり多くのことを要求されるわけですから安泰ですね。
一方でリハビリ技士はどうでしょうか?毎年数万人規模で新卒者が生まれています。高齢者は増えているのですが、そろそろ頭打ちですね。
タスクシフトやタスクシェアが進むと、人の少ないケア業務を担うことになるのでしょうか?
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医療介護業界の危機
2040年までに必要とされる医療介護人材は、1,065 万人~1,068 万人程度必要とされています。
就業者数全体に対する医療・福祉分野の就業者数の割合は 12.5%から19%程度まで上昇が必要です。
生産年齢人口が減少する中で、労働力需給が逼迫し、失業率は低水準、有効求人倍率は高水準で推移しており、今後、更に生産年齢人口の減少が加速することを踏まえると、医療・福祉分野における最大の課題はマンパワーの確保が求められます。
特に、医師数が少なく医師の長時間労働が問題になっています。「タスクシェア」「タスクシフト」の考えが導入され、これまで医師に担っていた業務を他の医療従事者が担うことになる訳です。
しかし、細かい業務の内容については明言されていません。これまでのルールやコンプライアンスの問題もあり難しい問題になっています。
リハビリ技士の現状
需要と供給が崩れた
一方でリハビリ専門職は全く逆の状況です。
理学療法士:133,000人(2022年)
作業療法士: 94,255 人(2020年)
言語聴覚士:38,200人(2022年)
リハビリ技士としてみると、265,000人にもなります。供給過多になりつつありますね。
質の低下
急激にリハビリ技士を増やしたしわ寄せは質の低下にも影響しています。
理学療法士・作業療法士・言語聴覚士などのリハビリ職は、多くは病院で勤務している技士が多いです。
業界が若いリハビリ技士で構成されているので、病院に従事する技士は5年目未満で知識も経験も不足しています。
若手が新人を教える教育体制をとらざる負えない状況になり、年々質の低下が懸念点です。
病院でのポジションが弱る
人件費の安い新人リハビリ技士を採用することは、病院経営上とても大切になります。
つまり、経験の浅い技士を大量に採用しないと経営上うまくないので、どんどん採用する。現場は若手が堆積し新人を若手が教育せざる負えない。
そんな組織構造ですから、病院での存在もかつてのような専門職としても立ち位置を徐々に失っていると感じます。
結果的に、リハビリ組織の病院でのポジションは低くなっていると感じます。
リハビリ技士のケアワーカー化はあるか?
結論から言うと「あると思います」。
高齢者数の高止まりしますが、生産年齢人口が追い付いてきません。
そこを埋め合わせるように、外国人労働者を投入していますが、文化の違いから定着が難しいようです。
医療と介護に精通しかつ、ホスピタリティと専門的な知識を有する職種は、リハビリ技士が最も該当すると思います。
マーケットを広げられない
偉い人たちも、ケアワーカー化については否定的な部分もあると思います。
なので、地域や予防などに働く場所を拡大しようと取り組んでいますが、なかなかうまく進んでいないようですね。
訪問リハビリステーションの話も、結局は訪問看護の圧力に負けている印象。
産業リハや産前産後などにも目を向けているようですが、保険診療とまで難しいでしょうね。
となると、これだけ爆増しているリハ職の逃げどころは、医療と介護の枠内に収まることになります。
今後、リハ職のマーケット拡大を医療介護の枠を超えた活動が求められるでしょう。ただ、行政や政治的に後ろ盾がない現状では、これからケアワーカー化は避けられないと思います。
皆さんはどう思いますか?コメントお願い致します。