変形性膝関節症の痛み治療に超音波治療は有効なの?
どんなメカニズムなの?
そんな疑問を解決します。
変形性膝関節症の痛みの治療は薬が処方されることが多いですよね。でも、副作用もあって鎮痛剤の依存症になることも問題となりますのでできれば控えたいですよね。
変形性膝関節症の痛みに有効な超音波治療って知ってますか?
超音波治療は世界的にも有効性が実証されている治療法ではありますが、まだ日本ではあまり普及されていません。
今回は変形性膝関節症の痛み治療に有効な超音波治療について解説していきます。
超音波治療の効果
- 治療部位の血流の増加による治癒プロセスのスピードアップ
- 腫れや浮腫の軽減による痛みの軽減
- 治療部位の筋肉、腱、および靭帯の瘢痕組織が軟化
- 靭帯、腱、瘢痕組織および線維性関節包などの構造回復に必要な熱の生産
- 筋肉の痙攣を減らす
- コラーゲンの生産を刺激する可能性
変形性膝関節症の変形が軽度例への超音波治療
変形の程度が比較的軽い(KL分類ⅠⅡ)の患者を114人を対象に超音波療法の有効性を検証しました。介入研究を最後まで終えた人は82人で93%でした。
超音波治療といっても自宅でできる持ち運び可能な超音波器量器具です。
検査する人と患者には事前に詳しい研究内容は伝えられていません。
そして、超音波治療が本当にされているものと嘘超音波治療器具をされている群に分類されました。
治療内容は6週間1日4時間の超音波治療(3MHz 1.3W 18,720J)を行います。
SAM®Sport(ZetrOZ Systems、LLC、Trumbull、CT)
痛みだけなく、膝の機能について調査しました。
結果は、痛みだけなく、膝の機能が回復しました。
今回参考にした論文
変形性膝関節症の変形が中等度例への超音波治療
56本の論文のうち5本を採用し分析しました。対象者は288人で超音波群145人と非超音波群143人を解析しました。
それぞれの論文の特徴です。年齢は約60歳で膝の変形の程度は中等度(KL分類ⅡⅢ)。介入期間は10日から8週間でした。
膝の機能回復と痛み、歩行スピードについて調査されました。
結果は、膝の機能回復と痛み、歩行スピード全てにおいて超音波治療群の方が改善しました。
変形性膝関節症への超音波療法のまとめ
超音波は動物実験レベルでは、細胞外マトリックス合成を誘導し、軟骨組織の移動と増殖の速度を増加させます。
また、軟骨保護効果があり関節軟骨のⅡ型コラーゲンの合成させ、軟骨変性の進行減退させます。マクロファージの食作用を機械的に促進させる効果が期待でき、関節・滑膜炎を解消する可能性があります。
これまで、変形性膝関節症の保存療法は運動療法か薬物療法が主体であった。とりわけ疼痛に関しては薬物療法が中心で副作用や依存症が問題でした。
変形性膝関節症の初期から中等度の症例の疼痛に対しても効果があり、在宅でできるデバイスとしては超音波治療は有効である可能性があります。疼痛だけでなく膝関節機能の回復も期待できます。
特に、変形性膝関節症初期の頃より超音波治療を行うことで、関節軟骨の変性進行を減退させるなどの細胞レベルでの改善が期待できます。
日本においてはまだまだ浸透していない治療法ですが、今後一般化していくでしょう。
関節注射や外来リハビリで膝の疼痛をコントロールするのが日本の主流ですが、これからは在宅で自分で膝のケアをする時代になります。
自宅に居ながら、超音波治療をしたり動画を見ながら膝のエクササイズをすることになるでしょう。
積極的に使っていきたいですね。
[…] […]
[…] […]