立位の重心位置は教科書に載っているけど、その他の動きや姿勢の重心はどこ?
身体重心って計算で求められるの?
身体重心の位置を求める方法は?
そんな疑問を解決していきます。
教科書では安静立位時の重心の位置については記載されていますが、動作時の重心の位置についてはほとんど書かれていませんよね。
もし、動作時の重心の位置が推定できると、「この位置に重心を持っていくとより効果的な動きができる!」そんなことを考えることもできるので、トレーナーやリハビリ技士には必要な知識ですよね。
でも、高価な研究機材などが無くても重心の位置を推定することは可能なのでしょうか?
今回は、上半身重心と下半身重心の位置・身体の各パーツの重さを基に動作中の身体重心の位置の求め方について解説していきます。
Contents
身体重心の位置を求めるのに必要なもの
身体のパーツの重み
身体部位の重心
身体のパーツ重さの割合は?
人体の各部位の重みはどれくらいなのでしょうか?日本の大学生のアスリートを対象とした研究を紹介します。
大学生運動部の男性215名、女性80名を対象として写真撮影をして身体各部位の質量比を推定しました。
年齢 | 身長 | 体重 | |
男性 | 19.9歳 | 175.1cm | 69.6kg |
女性 | 19.9歳 | 161.7cm | 56.1kg |
身体部位体重比
男性 | 女性 | |
頭部 | 6.9 | 7.5 |
体幹 | 48.9 | 45.7 |
上腕 | 2.7 | 2.6 |
前腕 | 1.6 | 1.5 |
手 | 0.6 | 0.6 |
大腿 | 11.0 | 12.3 |
下腿 | 5.1 | 5.3 |
足 | 1.1 | 1.1 |
体幹上部 | 30.2 | 26.7 |
体幹下部 | 18.7 | 19.0 |
日本人アスリートの身体部位慣性特性の推定より著者改変
身体を上半身と下半身2つに分けた時の重さは、上半身(頭部+上部体幹+上腕+前腕+手)42%、下半身(下部体幹+大腿+下腿+足)35.9%
上半身と下半身の比率は53%:47%となります。
上半身・下半身重心の位置
上半身重心の位置=第7〜9胸椎(みぞおちの少し上あたり)
下半身重心の位置=大腿骨の1/2〜近位1/3(大腿骨の半分より少し股関節側)
身体のそれぞれの部位の重心位置
男性 | 女性 | |
頭部 | 46.0 | 45.0 |
体幹 | 52.0 | 52.0 |
上腕 | 46.0 | 46.0 |
前腕 | 41.0 | 42.0 |
手 | 50.0 | 50.0 |
大腿 | 42.0 | 42.0 |
下腿 | 41.0 | 42,0 |
足 | 50.0 | 50.0 |
身体重心の位置の求め方
上半身質量と下半身質量の比率は53:47です。
身体合成重心は、上半身重心と下半身重心結んだ線の重さの比率で分割した位置にあります。
他の姿勢や動きでも重心の位置を推定できます。「重心からみる腰痛を発生しやすい座位姿勢の改善」や「筋トレのスクワット」などにも応用可能です。
スクワットは、身体重心を意識するだけで、目的とする筋肉を鍛えることが出来ます。
重心が関節から離れると関節への負担が強くなります。
なので、重心を可視化出来る様になると色んなトレーニングに応用できます!#筋トレ垢さんと繋がりたい #筋トレ好きと繋がりたい #筋トレ初心者— NETA@理学療法士 (@training1104) March 19, 2021
重心からみる立ち上がりのポイント
ゆっくり立ち上がる時には、身体重心から下ろした垂線が足と位置までこないとお尻が椅子から離れません。
なので、「立ち上がる時には身体を前に倒して!」とか「足を引いて」とか言うのはこれが理由です。
ただ、早く立ち上がる時は、身体重心が足の位置まで移動しなくでも、反動で立ち上がれてしまいます。
立ち上がりのポイントは、合成重心の位置が足の位置まで移動できているかをみることが重要になります。
まとめ
身体重心の位置の求め方を解説してきました。
重心を求めるには、各部位の重心位置と質量のデータが必要です。
上半身の重心位置は、みぞおちの少し上あたり。下半身の重心位置は、大腿骨の半分より少し股関節側です。
上半身と下半身の質量比は、53:47です。
身体合成重心は、上半身重心と下半身重心結んだ線の重さの比率で分割することで求めることができます。
この計算方法では、動きの中でも重心の位置を推定できますので立ち上がりや歩行などにも応用できます。
[…] 身体重心の位置の求め方!【上・下半身重心とパーツの重さでわかる】教科書では安静立位時の重心の位置については記載されていますが、動作時の重心の位置についてはほとんど書か […]
[…] 身体重心の位置の求め方!【上・下半身重心とパーツの重さでわかる】教科書では安静立位時の重心の位置については記載されていますが、動作時の重心の位置についてはほとんど書か […]
体の重心位置、身体合成重心位置の解説大変勉強になりました。
ただ一つ気になったところがあります。
身体重心の位置の求め方の右の写真47:53は、上53:下47ではないでしょうか。